コロナ禍で拡大する真空包装機市場。中食需要だけでない多様なニーズに注目

Club-TEC

2022年3月3日

株式会社TOSEI

株式会社TOSEI

コロナ禍を乗り越える取り組みの中、プロ用真空包装機の需要が急伸しています。理由の一つは飲食店のテイクアウト・デリバリーですが、理由はそれだけではありません。TOSPACKブランドの真空包装機で知られる株式会社TOSEIにその背景を伺いました。

SDGsの課題の一つ、食品ロス削減にも貢献

コロナ禍を乗り越える取り組みは、新たな需要の創出にもつながっています。その一つがプロ用真空包装機であることは間違いありません。1985年に製造販売を開始以来、プロ用真空包装機市場をリードしてきた株式会社TOSEI 営業本部 大型真空包装機拡販プロジェクトチーム 担当部長の荻野 耕次氏はその動きをこう振り返ります。

「当社も昨年4、5月の段階は売上が大きく落ち込みました。しかし6月以降は補助金の関係もあり飲食店からの受注が急回復し、7月からは食品スーパーを中心とした大型受注が重なったことで、コロナ禍以前の販売台数記録を塗り替える状況が続いています」

真空包装機への注目が高まった理由はどこにあるのでしょう。飲食店の場合、その背景には大きく二つの要因があると荻野氏は指摘します。一つは営業時間短縮を受けたランチ営業への注力です。時間的な制約が大きいランチ営業は調理作業の効率化や食材ロスの削減が強く求められますが、真空包装による作り置きはその解決に大きな役割を果たします。

もう一つが、テイクアウト・デリバリー需要の拡大です。真空包装であれば、食品の鮮度を維持し、より衛生的な状態で食卓に届けることが可能です。クール便を利用したネット通販事業への参入でコロナ禍を乗り越えようとする飲食店も少なくありません。

一方、食品スーパーの場合、東日本大震災後の買い置きニーズを受ける形でスタートした鮮魚フィーレの冷凍販売が真空包装機導入の大きな一歩になりました。東北地方を中心に店舗を展開する食品スーパーが開始したこの取り組みのメリットは、実は買い置きニーズに応えるだけではありません。

冷蔵販売される鮮魚の消費期限は短く、多くの場合2日後には値引き販売や廃棄を余儀なくされますが、真空包装後に冷凍すればその期間を約1カ月に延ばせます。それにより、販売機会ロスと食品ロスの回避が可能になります。

  • スーパーマーケットや飲食店を中心に真空包装機の活用が進んでいる
    スーパーマーケットや飲食店を中心に真空包装機の活用が進んでいる
  • 株式会社TOSEIでは、衣類の真空包装に新たな需要を見込み、販路を広げる
    株式会社TOSEIでは、衣類の真空包装に新たな需要を見込み、販路を広げる

コロナ禍を受け、再び買い置き需要が高まる中、あらためてそのメリットに注目したのが、全国で事業を展開する大手総合スーパーでした。TOSEIの協力のもと行われた実証実験では、鮮魚部門の売上が導入後2週間で300%の伸長を実現。販売機会ロスと食品ロス削減に関する効果が改めて実証される結果になりました。

「オートパッカーの包装と違い、真空包装であれば霜の付着や冷凍庫の冷風による乾燥を避けることが可能です。こうした特長が消費者の皆さまにも受け入れられたのではと考えています。実際の販売には冷凍ショーケースの拡充が不可欠になるため、今後は新店舗を中心に真空包装機を導入していく考えのようです」

また共働き世帯の増加などに伴う調理の時短化ニーズへの対応という観点から、真空包装機に注目する動きも現れています。近年売上が伸長するミールキットのカット済み食材を真空包装することで鮮度をより長く保つことができます。さらに、近頃話題になることも多い、会計後にサッカー台でトレーだけを捨てる“くるりポイ”対策にも真空包装機は効果的です。

需要の伸びが目立つのは、飲食店や食品スーパーだけではありません。真空包装機はアパレルの通信販売事業でも効果を発揮します。通販では、送料や受け取りの面倒さが受注の障害になることが珍しくありませんが、真空包装機でかさを減らせばメール便のポスト投函への対応も可能となり、送料を抑えることができます。コロナ禍の乗り越えに向け、ネット通販に注目する企業は少なくありません。料理や食材の枠にとどまらず、真空包装機が果たす役割は小さくなさそうです。

  • スーパーマーケットや飲食店を中心に真空包装機の活用が進んでいる
    株式会社TOSEIショールーム。真空包装機の実機を確認できるほか、キッチンスペースでは食材の真空包装を実演してくれる
  • 真空包装の実例。左の衣類が真空包装されると右の状態まで圧縮することができる
    真空包装の実例。左の衣類が真空包装されると右の状態まで圧縮することができる

真空包装機の注目事例

食品スーパー

真空包装による冷凍販売で鮮魚部門の食品ロスを解消

近年食品スーパーは、販売機会ロスと食品ロスという二つの課題への対応が強く求められています。特に鮮魚部門では、品切れも値引き販売もなく売り切ることが大きな課題になっています。こうした中、大手GMSが着目したのが、真空包装によるフィーレ冷凍販売でした。真空包装であれば、霜や冷風による乾燥などの冷凍販売の課題を回避できることがその理由。実証テストでは、300%の売上アップを実現。店舗への導入が着々と進んでいます。

飲食店

本格エスニック食材キットのネット通販に活用

本場で修業したオーナーが福岡で開いたメキシコ料理店は、手作りサルサソースとトルティーヤのタコスが評判。以前から食材の保存に真空包装機を活用してきた同店は、こだわりのタコスキットのネット通販にも真空包装を活用。瓶詰と違いかさばらない上、包材を選ぶことで包装後の加熱殺菌もできることがその理由でした。その取り組みは、大手ECモールのエスニック料理ランキングで1位を獲得するなど、大成功を収めています。

アパレル通販

強力な吸引力でアパレル品のメール便対応を実現

ネット通販事業では、物流コスト削減は常に大きな課題です。アパレルに特化したネット通販企業の発送部門が独立した同社は、メール便の活用を推進してきましたが、直面したのが厚さに関するメール便規格の厳格化でした。対策として同社が注目したのは真空包装機による包装の圧縮でした。現在同社は、ストールやスエットシャツ、コーデュロイパンツなどの発送に真空包装機を活用。メール便規格への確実な対応を実現しています。

お客様情報

  • お客様名称

    株式会社TOSEI

  • 所在地

    東京都品川区東五反田1丁目24番2号 東五反田1丁目ビル

  • 業務内容

    業務用クリーニング機器および真空包装機の製造販売

  • 従業員数

    336名(2021年4月1日現在)

  • URL

    https:// www.tosei-corporation.co.jp

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