釣り具のリユースという嗜好品の専門市場で急成長
株式会社タックルベリーは、釣り具に特化したリユース事業を展開する小売企業です。2000年に神奈川県藤沢市で創業した同社は、バブル崩壊後の中古需要の高まりを背景に事業を拡大。現在、店舗数はフランチャイズを含め、国内およびアジア地域で16店舗に及びます。自身も釣りを趣味にする営業本部 店舗運営課 課長の宇野 隼人氏は顧客層をこう説明します。
「当社は現在、新品・中古品を問わず幅広く商品を提供していますが、お客さまは掘り出し物を目当てにするマニアの方から、より安くツールをそろえたいエントリー層まで、かなり幅広いですね。釣り具の場合、ターゲットとする魚によっても必要なツールが違うため、中古品でリーズナブルに用具をそろえたいというニーズは根強いものがあります」
会員証アプリのいち早い導入など、デジタル活用にも同社は積極的です。その取り組みを営業本部 Web事業課 課長代理の磯田 龍一郎氏はこう説明します。
「当社では会員証アプリの利用データに基づき、買取価格の割増しや販売価格の値引きを行うサービスを展開しています。会員管理システムは外部の仕組みを一部利用していますが、開発から運用まで、ほぼ社内で対応しています。内製化により、販促施策がよりスピーディに展開できることは当社の強みとなっています」
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神奈川県藤沢市にあるタックルベリー本社。本社の1階が商品販売フロアになっています -
営業本部 店舗運営課 課長 宇野 隼人氏 -
営業本部 Web事業課 課長代理 磯田 龍一郎氏
レシートは不要、の声にスマートレシートで対応
買取価格の割増しや販売価格の値引きにとどまらない、会員証アプリの付加価値向上は、顧客の囲い込みを図る上で大きな課題でした。こうした中、同社が注目したのは、「紙のレシートは不要」という顧客の声でした。
「レシートはいらないというお客さまは、当社の場合かなり多いですね。また電子レシートによるペーパーレス実現は、リユース事業を中核としてSDGsに取り組んでいる当社としては、サステナビリティという観点でも意義があります。会員証アプリへの電子レシート実装の検討を開始したのは2020年秋のことでした。当初は自社開発も視野に入れていましたが、取引先のSIerさんからスマートレシートというすでに広く普及している仕組みを紹介され、システム連携を選択しました。東芝テック製のPOSレジを導入していなくても容易に連携できることに加え、地域の小売店や飲食店の方々とさまざまな協業が可能になることがその決め手になりました」(磯田氏)
会員証アプリとスマートレシートの連携サービスを開始したのは2021年5月。メルマガやSNS公式アカウント、店頭POP等による告知を受け、会員証アプリユーザーさま自身が連携手続きを行うというのが利用の基本的な流れです。
「タックルベリーは、地域の釣り環境に応じた商品を中心に商品アイテムの選定や店舗設計を行っています。なぜなら店舗がある地域ごとに釣れる魚が違うからです。狙う魚によって、使用する道具や釣りスポットは異なります。そのため店舗にいらっしゃるお客さまの年齢や嗜好にも違いがあります。会員証アプリの導入は、お客さまのメリットとなる情報やキャンペーンなどを地域ごとにアナウンスするために導入しました。また、スマートレシートの登録者は、若い世代が多く、年配者の登録は少なめだと分かりました。今後は、これらのデータを踏まえ、さらに地域のお客さまが必要とされる情報を提供していきたいと考えています」(磯田氏)
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全国に店舗を持つタックルベリーは、地域の釣りをサポートする店舗設計を行っています -
店舗内には所狭しと商品が陳列され、まさにトレジャーハンティング気分
スマートレシートによる知名度向上や集客にも期待
2022年2月時点で、連携手続きを終えた会員証アプリユーザーは約2割。
「東芝テックさんに導入当初と今年2月の2回にわたり、クーポンキャンペーンを通して支援いただいていますが、電子レシートのニーズを考えると連携ユーザーはまだまだ増えると感じています。サービス告知は今後も積極的に行っていきたいと考えています」(磯田氏)
今後の展開として同社が考えているのは、スマートレシート導入企業との協業促進です。
「釣りファンであれば当社の名をご存知かもしれませんが、一般消費者の知名度はまだまだというのが現実です。釣り具の小売市場は、地域ごとに強力なライバルが存在するだけに、特にエントリー層のお客さまに当社の存在を知っていただく点でも、相互送客をはじめとする、スマートレシート導入企業との協業にも積極的に取り組んでいきたいと考えています」(宇野氏)
3密回避の近場レジャーとして釣りが注目される中、ゴミ投棄など、釣り人のマナーに関する問題も各地で浮上しています。これらの課題を解決するためにも専門店による情報発信は大きな意味を持ちます。同社は顧客の利便性向上だけでなく、情報発信の基盤となる会員証アプリユーザー数拡大という観点でも、スマートレシート連携が大きな役割を果たすことを期待しています。
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スマートレシートとの連携後にクーポンプレゼントキャンペーンを実施 -
タックルベリーの会員証アプリのバーコードを読み取るとスマートレシートが発行されます