お店に元気を つながる環を

Club-TEC

2022年5月31日

東芝テック株式会社
リテールテックJAPAN 2022 紹介

お店に元気を つながる環を

流通・小売業界向けの最新ソリューションが一堂に会するリテールテックJAPAN2022が3月1日~ 4日の4日間、東京ビッグサイトで開催されました。今回の東芝テックの展示の目玉になったのが、イベントに先立ち発表されたグローバルリテールプラットフォーム「ELERA(エレラ)」でした。「お店に元気を つながる環を」を展示コンセプトにした東芝テックの出展内容をレポートします。

お店のDX推進をクラウドサービスで支援

リテールテックJAPAN2022で東芝テックが掲げた展示コンセプトは「お店に元気をつながる環を」。その目玉になったのが正式発表されて間もないグローバルリテールプラットフォーム「ELERA」でした。

その一番の特長は、いつ、どこからでもつながるクラウドベースのサブスクリプションである点。これまで東芝テックのサービスやソリューションは、店舗のPOSレジを起点に展開されることが一般的だっただけに、新たな挑戦の始まりともいえそうです。

新型コロナウイルス感染拡大をさかいに、消費行動の場所と時間が分散するなど、消費者のライフスタイルが大きく変化するとともに、他業種からの流通業界参入など、流通業界を取り巻く事業環境は激変しており、それに伴って小売業が抱える課題も深刻化・多様化しています。

これらの課題を乗り越え、お店が成長を続けるには、店舗だけでなく、多様なタッチポイントやバックヤード、デジタル空間を一元的に管理する新たな仕組みが欠かせません。ELERAは今求められる小売店や飲食店のDXを推進する、新たな基盤となりそうです。

ではELERAはお店にどのようなメリットをもたらすのでしょう。そのポイントは大きく3つに整理できます。

1.消費者とお店をつなぐ

さまざまなタッチポイントで収集される消費行動データを一元化することで、より効果的なプロモーションやマーケティング分析を実現したり、業務の省力化を可能にします。

2.サービス提供パートナー企業とつなぐ

APIを公開し、さまざまな企業が自社サービスと接続可能なプラットフォームであることもELERAの特長。それにより、小売・飲食業の皆さまへより付加価値の高いサービスを提供します。

3.利用中のシステムとつなぐ

マイクロサービスとして、サービスを細分化して提供することもELERAの特長です。お店は、既存のPOSシステムに新機能を追加するサブスクリプションとしてELERAを利用できます。

お店の業務をクラウドで省力化

メインステージでは、ELERAに焦点を絞り、そのさまざまな利用例が紹介されました。その一つが、飲食店のオーダー管理への活用です。

生活行動様式の変化に伴い、飲食店は今、デリバリー、テイクアウト、モバイルオーダーなどの多様なオーダーに対応することが求められています。これらのオーダーは各サービス事業者の仕組みを利用して行われることが一般的で、お店はオーダーの都度、自社のオーダーシステムに再入力する手間が発生していました。ELERAは各サービス事業者からのオーダー情報をクラウドで一元化できるため、人手を介することなく、自社のオーダーシステムに入力することが可能になります。

小売店の活用で最初に注目したいのは、ELERAにアクセスすることで、手元のスマートフォンやタブレット端末がPOSレジとして活用できる点です。小売の現場では近年、ポップアップストアやイベント会場のタッチポイントとしての活用が重要視されていますが、期間限定ショップはPOSレジの確保が常に大きな課題です。ELERAを利用することで、タブレット端末とリーダライタ、レシートプリンタの組み合わせによるPOSレジ代替が可能になります。モバイル端末をPOSレジとして利用することで、これまでの接客スタイルの全面的な見直しも可能になることも注目したいポイントです。

スーパーや量販店では、カート型セルフレジと連携することで、購入商品に対応したクーポン発行やキャンペーン情報の提供がよりスムーズに行えるようになります。さらにスマートレシートと連携することで、よりパーソナライズされた情報提供が可能になります。

ELERAを基盤としたサードパーティによるサービス提供については、ハルモニア株式会社によるプライシング・価格戦略ソリューションが具体例として発表されましたが、今後も拡大する見通しです。グローバル展開も含め、消費者とお店、多彩なパートナー企業がつながる“ 環”には今後も注目していく必要がありそうです。

東芝テック展示ブース全体に目を向けると、展示で目立ったのは小売店や飲食店が直面する人手不足という課題に対応した、無人決済に代表されるソリューションでした。人手不足という直面する課題とDXという未来に向けた取り組みが、今後のセールスの重要なキーワードになることは間違いなさそうです。

NEXT ACT

●ELERA POS/ELERA Service Store/移動型販売スタイル KuRuShop
NEXT ACTではメインシアターと連動し、ELERAに関連するサービスやソリューションのデモンストレーションを展開。ELERAに接続したタブレット端末とリーダライタ、レシートプリンタ内蔵キャッシュドロアによるPOSレジソリューションや、売場移動型セルフレジシステム「ピピットセルフ」によるリアルタイムのクーポン発行と共に注目を集めたのが、スマホで呼び出すと、ELERAを通して指定した場所に自律移動する移動型無人販売ロボット「KuRuShop」。搭載するカメラによる顔認証も可能で、ショッピングモールの話題作りのほか、オフィスや物流倉庫で席を外せない状況のスタッフに飲み物や軽食を届けるソリューションとしても注目する必要がありそうです。



  • RFIDソリューション

    ●AR探索/RFLogispert/RFMeister
    小売現場のRFID活用で特に注目したいのが棚卸の省力化です。多くのマンパワーを掛けて数日掛かりで行っていた業務がわずか半日で終えられるようになるなど、劇的な成果を挙げる事例がすでに数多く登場しています。また東芝テック製RFIDハンドリーダーの探索物の位置をレーダー表示できる機能はバックヤードの在庫探索に好評ですが、新たにハンドリーダー連携スマホのカメラ映像上に、探索物の位置を表示するAR探索機能も追加されました。(AR探索機能は参考出展です)



  • オーダー連携ソリューション

    ●Order Linkage/SkipOrder
    デリバリー注文やモバイルオーダーなど、飲食店の利用形態は急速に多様化していますが、それに伴い店舗では外部サービスごとに注文を管理するという新たな手間が生じています。注文連携サービスOrder Linkageは、グローバルリテールプラットフォームELERAでオーダー情報を統合し、一元管理するソリューション。またショッピングセンターのフードコートの注文や呼び出しにお客さまのスマホを利用して行うSkipOrderも紹介されました。



    データソリューション

    ●プライシング・価格戦略ソリューション/データサービスソリューション/店内会計時販促「テッククーポンデリ」/店内回遊時販促「リアル販促」
    ELERAは多様なサービスのプラットフォームとしての役割も担います。「プライシング・価格戦略ソリューション」はその一つ。食品ロス削減には価格変更が効果的ですが、最適化によるロス削減・収益向上は、経験と勘だけでは難しいのが現実。ELERAはプライシングを支援し、価格情報の変更を店頭とデジタル空間で一元管理します。またピピットセルフ端末でスキャンした商品に関連する情報をリアルタイム表示するソリューションも紹介されました。



    OMO・オムニチャネル

    ●OMOソリューションサービス接客支援システム オムニチャネルソリューション
    小売業界で広く進む、実店舗とオンラインの融合を支援するソリューションも複数展示されました。その一例が、販売員が手元のスマホで顧客のEC注文や倉庫在庫を確認できる接客支援システム。EC注文をレジカウンターの端末で確認する必要がなく、よりスムーズな顧客対応が実現します。また顧客情報を一元管理し、実店舗とECを連動させた販促でファン層拡大やリピート率向上を図るオムニチャネルソリューションも紹介されました。



    スマートレシート

    ●電子レシートシステム スマートレシート
    スマートレシートは会計時にレシート印字データそのものを電子化して提供するシステム。「財布が膨らむ」「保管が大変」といった困りごとを解消するだけでなく、「クーポン発行」「キャンペーン告知」「スタンプカード」など多様な機能を備えています。また家計簿アプリとの連携で、データを家計簿に自動反映させることも可能。OCRによるデータ読み込み機能も実装され、紙レシートを含めた家計簿の電子化にも利用できるようになりました。



    デジタルマーケティング

    ●TECリテールメディア
    入店認証、カートPOS、スマホPOS、店舗受け取り、サイネージ、スマートレシートなど、次世代店舗のタッチポイントは多様です。さらにこれからの販促活動では、顧客IDに紐づいたID-POSデータや行動データの活用も重要な課題です。これらの課題に対応し、次世代店舗のタッチポイントを一元管理し、ID-POSデータや行動データを活用することで、販促物の管理・入稿・配信・分析を最適化するサービスが紹介されました。



    フリクションレスショッピング

    ●画像認識AIカートソリューション
    カート型セルフレジは現在、ピピットカートに代表される、消費者がバーコードを読み取る仕組みが主流です。その一方で、フリクションレスという観点から、よりスムーズな購買体験を実現する新たな仕組みの開発も進んでいます。東芝テックが出資するIMAGR社(ニュージーランド)が開発する画像認識AIカートソリューションは、カートに入れるだけで自動的に商品を認識。まさにフリクションレスな仕組みは大きな注目を集めました。



    決済ソリューション

    ●OmniPay/CT-6100
    決済無人化では、多様な決済手段への対応も課題です。お客さまのスマホを利用し、多様なスマホ決済にも一元対応するスキーム、OmniPayも紹介されました。お店側のモニタ画面のQRコードをお客さまが読み取り、決済用Webページにアクセスするのが利用の流れ。飲食店のセルフオーダーシステムと連携することで、オーダーから決済までお客さま自身が行うことが可能になります。そのほか決済手段の多様化に対応した新決済端末、CT-6100も紹介されました。



    無人決済店舗

    ●TTG-SENSE MICRO
    コンビニ型無人決済店舗TTG-SENSEは、2020年のサービス提供開始以来、安定的な運用を実現しています。昨秋には小規模店舗を想定したTTG-SENSE MICROを発表。オフィスや病院、ガソリンスタンド、工場、物流倉庫など、人が集まる場であればどこでも事業展開が可能な仕組みとして普及が進んでいます。TTG-SENSE MICROでの購買が疑似体験できるコーナーもブースに設置され、来場者の大きな注目を集めました。



    セルフチェックアウト

    ●顔認証決済/不正行動検知システム/キャッシュレスセルフレジ SS-N1C/ハウスプリカチャージバックサービス(ELERA)

    フリーチェックアウト

    ●ELERA-パーソナルセルフレジ ピピットセルフ
    スーパーやコンビニで普及が進むセルフチェックアウトは、人手不足の解決に不可欠な存在ですが、その最新ソリューションが紹介されました。その一つが売場移動型セルフレジ「ピピットセルフ」。専用タブレット・スキャナを備えるカート型と、お客さまが自身のスマホにアプリをダウンロードするスマホ型の2種類があり、どちらも専用精算機で決済後、小型セキュリティゲートで精算済みレシートをかざすだけで通行できるようになります。そのほか、重量センサーによるセキュリティ機能を搭載したキャッシュレスセルフレジや、顔認証で決済を行うソリューション、カメラ画像から消費者行動を分析し、AIが不正を検知する仕組みも紹介されました。