非対面・非接触ニーズで拡大するセルフレジ市場
これまでセルフ・セミセルフレジは深刻な人手不足を背景に、スーパーマーケットをはじめとする量販店を中心に導入が進みました。しかしコロナ禍の非対面・非接触ニーズは、量販店に限りません。お客様と従業員の安全を守るという観点で、専門店や飲食店、アミューズメント施設、医療機関など、規模を問わず、多様な業種で普及が進んでいます。
その一方で、市場拡大は新たな課題にもつながっています。量販店の場合、チェックアウトレーンは什器を置くスペースがある程度確保されているのに加え、店舗ごとにほぼ共通なため、一旦仕様を決めてしまえばセミセルフレジへスムーズに移行することが可能でした。しかし専門店や飲食店のレジカウンターの形状は多種多様です。そのため、特にスペースの関係で設置が困難という場合は、個別に対応していく必要が生じます。
中でも問題になるのは、自動釣銭機の存在です。東芝テックの自動釣銭機はコンパクトな設計を実現していますが、それでも既存のレジカウンターでは設置が難しい案件もあります。
スペースに制約がある既設レジカウンターに対面式セミセルフレジを導入しようとする場合、従来のドロワー同様、自動釣銭機とPOSレジを上下に重ねて設置すると、POSレジの位置が高くなり過ぎる課題があります。現金決済を廃止し、キャッシュレスのみの取り扱いにすれば問題は解決しますが、多くの場合、それは現実的な選択肢ではありません。そのためレジカウンター自体を作り直したり、自動釣銭機を置く台を新たに設置するなどの工夫が必要になります。
また自動釣銭機は落下防止のために底面をネジで固定することが一般的であり、そういった点にも配慮されているセルフ・セミセルフ専用に作成した什器の利用が望ましくなります。さらに、お店の形状や要望に合わせて什器を導入することで、使いやすさと外観を両立したレジカウンターとしてご利用いただくことができます。
東芝テックと40年来の取引がある什器メーカーの棚橋工業株式会社 仙台営業所の菊地氏は状況をこう説明します。
「飲食店の場合、当社で標準品として作成しているセルフ・対面式セミセルフレジ用什器が収まらないケースがあります。その場合は一度東芝テックの担当者と一緒にお店に伺って、現地調査をした上で過去の什器製作実績や類似の納入実績を踏まえてご提案させていただきます」
一方、専門店では、店舗デザインとの一体化を目的とした什器を制作して欲しいという要望をいただきます。この場合、カラー変更や木目調フィルムの活用による内装との一体化が図られることになります。すでに同社では、専門店や飲食店、アミューズメント施設、医療機関などに、それぞれのニーズに応じた什器を数多く提供しています。
東芝テックの自動釣銭機は大容量かつ省スペースを実現

自動釣銭機がPOSレジの用途拡大に貢献
レジ什器で重要になるのは、ユーザの要望と安全性を含めた機能性の両立という観点です。要望をそのまま取り入れてしまうことで、後々の問題につながりかねない点に注意する必要があります。
その一例が、自動釣銭機の入出金口以外をカバーで覆いたいという要望です。特に専門店の場合、レジカウンター周りをすっきりさせたいというご要望をいただきますが、自動釣銭機の前面を開閉できないカバーで覆ってしまうとメンテナンスが困難になってしまいます。
「セルフ・セミセルフレジを初めて導入する場合、どうすればいいのか分からないという方が大多数です。私の場合、お客様のご要望をただ聞くのではなく、それを自分なりに理解した上でご提案することを心掛けています」(菊地氏)
レジ什器では、決済端末などの配線の取り回しにも注意が必要です。
「まず大切になるのが、レジスペースの採寸を正確に行い、当社の標準品による対応が可能か否かを判断することです。次に注意したいのが、配線の取り回しです。決済端末の多様化もあり、レジまわりの配線が複雑化する中、その取り回しに強いこだわりを持つお客様も多く、ときには納品後の什器に配線用の穴を開けるケースもあります。スムーズな納品を実現し、お客様に満足していただくには、配線についても詳細にヒアリングすることが大切です」(菊地氏)
POSレジのセルフレジとしての活用は、新たな販売先や運用提案にもつながっています。例えば、映画館などのアミューズメント施設のチケット販売機としての活用です。POSレジ本体と自動釣銭機、大型モニタを縦に積み上げて什器に収めることで、チケット販売専用機と同様の機能が提供できるようになります。同様に、これまで専用機を利用することが一般的だった券売機への応用も進んでいます。レジ什器は、POSレジの新市場開拓という観点でも注目する必要がありそうです。
棚橋工業株式会社が提供するオリジナル製品
棚橋工業では、レジを設置する際に必要となる什器だけでなく、レジ周りのスペースを活用するサッカー台や便利なグッズを提案しています。
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