最先端の自動化ソリューションで人手不足に対応
株式会社丸和運輸機関は、小売業に特化した3PLサービスを軸に事業を展開する物流企業。コロナ禍の巣ごもり需要で伸長を続けるEC物流事業や低温食品物流事業に加え、BCP(事業継続計画)物流事業をコア事業と位置づけ、物流面からの自治体・企業のBCP支援にも積極的に取り組んでいます。
物流ニーズが拡大する中で、倉庫運営では慢性的な人手不足が大きな課題になっています。2016年に本稼働した、同社のアズコム仙台食品物流センターは、ピッキング在庫自動補充をはじめとする自動化ソリューションを導入し、省人化に積極的に取り組んでいます。
「当物流センターは東北6県を担当エリアに、当日正午までの注文については翌朝配送を実現しています。約半日というリードタイム実現には、自動化による確実な在庫管理が大きな役割を果たしています」(アズコム仙台食品物流センター 食品物流運営部 課長 藤井 敦志氏)
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宮城県富谷市にあるアズコム仙台食品物流センター -
東北6県をカバーする物流倉庫では、パレット、箱単位はもちろん、ピックアップの箱詰めにも対応 -
アズコム仙台食品物流センター 食品物流運営部 課長 藤井 敦志氏
1対複数同時コミュニケーションへの移行で情報共有を効率化
業務の効率化を積極的に推進する同物流センターが次の一手として注目したのは、音声認識機能を備えるインカムアプリ「RECAIUS フィールドボイスインカム」(以下フィールドボイスインカム)でした。
「倉庫内の自動化はある程度実現できましたが、人手不足を解消できたわけではありません。次にどんな挑戦ができるのか、以前から取引があった東芝テックさんに相談したところ提案されたのがフィールドボイスインカムでした。すぐにこれは使えるのではと感じました」(DX推進部 課長 平林 祐貴氏)
当時、センター内の連絡は携帯電話で行っていましたが、同じ情報伝達を複数人と繰り返すこともあり、効率的ではありませんでした。導入のきっかけは、インカムによるコミュニケーションへの移行により、効率化が図れるのではと考えたことです。また会話をテキストに変換でき、分析できる点にも注目していました。
同センターは2020年12月、フィールドボイスインカムの試験運用を実施。特に複数人への音声によるコミュニケーションに移行したことは、当初の想定を超える効果がありました。
「当センターは4つの部署が連携して業務を遂行しているため、部署間の情報共有が不可欠です。電話では同じ内容の通話を3回繰り返す必要がありましたが、フィールドボイスインカムであれば1回で済み、連絡漏れも確実に減りましたね」(アズコム仙台食品物流センター 店舗物流 センター長 菅原 健氏)
また自動化システムのエラー時の対応の効率化も大きなポイントです。
「自分で見に行けない場合、別のスタッフに対応を依頼していたのですが、相手も手がふさがっているような場合、さらに別のスタッフに連絡を取ることになります。フィールドボイスインカムならそれが一度で済むので助かります」(アズコム仙台食品物流センター 店舗物流 副センター長 田口 勉氏)
同社は現在、自動化システムのアラートとフィールドボイスインカムを連携する仕組みを検討中と言います。
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フィールドボイスインカムの使用イメージ。巨大な庫内で音声による情報共有は作業効率のアップに貢献 -
箱単位の仕分けを行う自動化システム。納品から出荷までをフルオートで行える -
アズコム仙台食品物流センター 店舗物流 センター長 菅原 健氏
テキスト化された音声が業務改善のヒントを提供
2021年5月よりフィールドボイスインカムの本格運用を開始。業務改善のヒント収集という面でも、大きな手応えを得つつあります。
「試験運用中の音声データを分析したところ、例えば、毎週決まった時刻に『カートラック(台車)が足りない』という連絡が増えることが浮かび上がりました。台車を探す時間は明らかに無駄な時間です。テキスト化された音声データを掘り下げていくことで、現場で起きている気付きにくい問題の早期発見や、業務が集中している時間帯や担当者を把握し改善することが可能になるのではと考えています」(藤井氏)
現場レベルの気づきの先に同社が見据えているのが、業務全体の可視化という大きな課題です。
「物流センターにおける人材配置やトラック手配は、今も担当者の経験と勘に頼っているのが実情です。当社のDXが目指すのは、こうした業務を可視化し、標準化することです。現在、フィールドボイスインカムはスムーズな連携を主眼にした運用を行っていますが、将来的には蓄積された情報をDXにも活用していきたいと考えています」(平林氏)
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アズコム仙台食品物流センター 店舗物流 副センター長 田口 勉氏 -
DX推進部 課長 平林 祐貴氏