山口県最大の外食企業がセルフサービスの新業態を開発。募集採用市場縮小を見据え、店舗の生産性向上に取り組む

Club-TEC

2025年3月13日

山口県最大の外食企業がセルフサービスの新業態を開発
募集採用市場縮小を見据え、店舗の生産性向上に取り組む

人件費や食材が高騰する中、山口・広島両県で外食事業を展開するMIHORIグループでは、店舗の生産性向上が重要な課題になっていました。同グループが新業態として開発したセルフサービスによるハンバーグ・ステーキ専門店では、東芝テックが提供したセルフ会計ソリューションがフロア業務の効率化をはじめとする店舗の生産性向上に大きな役割を果たしています。

ー セルフ会計システム ー

  • 導入時期

    2023年11月

  • 導入目的

    フロア業務の省力化

    店舗の生産性向上

  • 課題

    インフレ時代の人件費・商品原価の高騰への対応

    ITソリューションを活用した業務省力化

  • 効果

    セルフサービスにより2、3名のフロアスタッフを1名に削減

    インフレが進む中、競合他社と比べて優位な店舗オペレーションを実現

山口・広島県で地元に密着した飲食事業を展開

MIHORIグループの創業は1975年。山口出身の創業者が、山口市内の商店街に開いた小さなうどん店から始まり、現在では本格和食のみほり峠、和み家のほか、とんかつ専門店、焼肉専門店、喫茶・スイーツ店などを擁する最大級の外食企業に成長しました。事業エリアは、山口県と広島県。配膳ロボットをはじめとする最新ソリューションの積極的な導入も同グループの特色の一つです。その狙いをグループ持株会社のフジコーホルディングス 執行役員 経営企画室長の横川 克浩氏はこう説明します。

「設立以来、主に山口県内で人材を採用してきた当社は、出店にあたり従業員が2時間以内に地元に帰れることを常に意識してきました。それが山口・広島両県に店舗が留まる理由です。一方で全国区の飲食チェーンの場合、東京・大阪・名古屋の次は福岡に飛び、山口に流行が伝わるまで時間差が生じることが珍しくありません。地場企業として、こうした状況を変えたいというのは強く意識しています。配膳ロボットに関しても、業務の改善よりむしろ、外食業界の流行をいち早く押さえ、地元の皆様に提供したいという意識が強かったですね」

  • フジコーホルディングス 執行役員 経営企画室長 横川 克浩氏

課題は店舗の生産性向上。セルフサービスの新業態を開発

2023年11月、山口市朝田で開業したハンバーグ・ステーキを主体とした新業態「ステーキ食堂 直治郎」では、前払いセルフ会計とセルフサービスによる料理提供と皿回収というこれまでにないオペレーションに挑戦しています。その背景には、グループが直面する課題解決に向けた実験という意味合いがありました。

「セルフサービスによるフロア業務の省力化は人手不足とセットで語られることが多いのですが、山口市朝田の場合、地元の山口大学の学生がアルバイトとして確保できるため、実は人手不足はさほど深刻ではありません。むしろ今後の高齢化や人口減少にどう対応するかという点こそが重要な課題です。人件費や原材料費の上昇が続く中、我々がまず取り組むべきは店舗の生産性向上であることは間違いありません。当グループが山口市で営業してきた同業態店舗のフランチャインズ契約終了が決定された際、ここでグループ全体への展開を見据えたテストを行いたいと考えました。それが前払いセルフ会計、セルフサービスを採用した理由です」

お客様呼び出し番号を表示する「ワンタッチビュー」とセルフ会計システム、オーダーエントリーシステムの組み合わせにより、注文時に会計を済ませ、調理を終えた料理をお客様自身がセルフサービスでテーブルに運び、空いた皿を返却することが採用された新オペレーションの概要です。

  • ステーキ食堂 直治郎の入口にセルフ会計システムを設置
  • お客様呼び出し番号を表示する「ワンタッチビュー」

「出店にあたりコンセプトとしては、人件費を抑えつつより価値のある商品をいかにリーズナブルにお客様に提供するかが今回の一番の目的でした」

一連のシステムの構築および運用サポートは東芝テックが担いました。

「東芝テックに任せておけば大丈夫という安心感はやはり大きいですよね。当グループの新たなチャレンジに際し、東芝テックさんにお声掛けした理由もそこにあります。8月末までフランチャインズ店舗の営業を続け、そこから新店舗のコンセプト作りをスタートし、11月にリニューアルオープンするというスケジュールにおいて、システム構築も含めてスムーズに進んだのは東芝テックさんのおかげでもあると思っています」

  • 約40席ある店内を1名のフロアスタッフが切り盛りしています
  • 店内にある大型モニターではスポーツ中継などを提供

お客様に価値ある商品を提供するために

ステーキ食堂 直治郎は約40席。オープン以来、1名のフロアスタッフで回しています。同規模の既存店が2~3名体制で運営することを考えると、フロア業務の省力化は明らかといいます。課題は、お客様の理解です。ステーキ食堂 直治郎 事業部 次長の冨岡 恭成氏はこう説明します。

「フロアスタッフは注文サポートやお席への誘導などを行い、基本的にお客様自身が料理を受け取り、食べ終わった食器を返却してもらうことを想定していますが、特に返却に関する反発はやはり強いものがありますね。ランチタイムなどの混雑時は、返却への協力を呼び掛けていますが、それ以外の時間帯はフロアスタッフが行うことが今も多いですね。スタート後はお客様にできるだけご負担をおかけすることなくお店として積極的にお客様にお声がけする事を心がけています」

  • ステーキ食堂 直治郎 事業部 次長 冨岡 恭成氏

その背景について横川氏はこのように指摘します。

「牛肉価格をはじめとする原価の上昇に利益圧縮で対応しているのが、現在の同業他社の状況です。実は社内でも、価格設定についてはさまざまな議論がありました。しかし持続可能な新業態を考える際に、利益を度外視したビジネスモデルでは意味がありません。赤字覚悟の価格維持は、いつまでも続けられるものではありません。弊社は、デジタルの活用により経費を抑えながら、価値ある商品をリーズナブルに提供しています。積極的な商品開発も含め、私たちの業態がお客様に理解される日は必ず来ると考えています」

店舗の生産性向上という課題において、ステーキ食堂 直治郎の取り組みが大きな意味を持つことは間違いありません。一方でセルフ会計・セルフサービスという方法論が、グループの多様な店舗業態のすべてに対応するわけではありません。MIHORIグループは東芝テックの協力のもと、テーブルオーダーシステム導入をはじめとする新たな取り組みを並行して行っています。さらに2025年3月からの飲食店トータルクラウドサービス「Fooding Works EX」への本部システム移行に向けた取り組みを開始。MIHORIグループは、高齢化や人口減少を見据えた外食産業のあり方を東芝テックと共に追求していきたいと考えています。

  • 東芝テックに任せておけば大丈夫というお言葉をいただきました

お客様情報

  • お客様名称

    株式会社フジコーホールディングス
    ステーキ食堂 直治郎

  • 所在地

    山口県山口市朝田782−2

  • 電話

    083-933-0113

  • 営業時間

    11:00~15:00(ラストオーダー14:30)
    17:00~22:00(ラストオーダー21:30)

  • 定休日

    火曜日定休

  • URL

    https://www.mhr.jp/naojirou/

株式会社フジコーホールディングス 炉舎