トラック到着と連携したピッキングで、出荷バースの滞留を解消 作業状況の見える化で自律的に作業を応援

Club-TEC

2021年5月30日

月桂冠株式会社 導入事例

月桂冠株式会社

酒どころ京都伏見を代表する酒蔵として全国にその名を知られる月桂冠株式会社様。主力酒蔵・大手蔵に隣接する物流センターの効率化に、東芝グループの倉庫管理ソリューションLADOC Suiteとプリンターをはじめとする東芝テック製品が大きな役割を果たしています。

  • 導入時期

    2015年4月

  • 導入目的

    出庫作業の効率化

  • 課題

    仮置き場の荷物滞留

    カスタマイズによる保守費用の高額化

  • 効果

    トラック到着と連携したピッキングによる作業の効率化

    作業負荷の可視化による自律的な作業応援の実現

酒造りの常識を変え続ける日本有数の老舗企業

月桂冠株式会社の創業は1637(寛永14)年。老舗企業が多い酒造メーカーの中でも並外れて長い歴史を誇ります。しかし、その歴史は必ずしも順風満帆ではありませんでした。伏見の酒造家は、江戸時代には海運に恵まれた灘に大きく水をあけられたうえに、幕末の鳥羽伏見の戦いで大きな被害を受けました。こうした中、他社に先駆けて防腐剤なしのびん詰を発売するなど、酒造りに最新の科学技術を取り入れたのが同社でした。なかでも1910(明治43)年発売のコップ付き小びんは、駅の売店で広く販売され、「月桂冠」の名が全国に広まるきっかけになりました。また戦後、年間を通じて醸造を行う四季醸造システムを初めて取り入れたのも月桂冠でした。近年では、業界初となる「糖質ゼロ」清酒を発売するなど、技術力に裏付けられた先進の気風は今も脈々と受け継がれています。

「要件定義に時間を掛けましょう」の一言が選定の決め手に

京都伏見の大手蔵と昭和蔵の2つの酒蔵で造られた製品は、大手蔵併設の物流センターから全国に配送されます。SKUで数百を超える製品をロット別に管理し、出荷することは以前から大きな課題の一つでした。2003年に倉庫管理システムを本格導入し、大幅な省力化を実現した後も未解決の問題が残りました。その一つが、仮置き荷物の滞留でした。

同社は、当日出荷分のピッキングを前日に開始するなど、物流スピード向上に努めてきましたが、予定していたトラックの入場の遅れにより仮置きパレットが出荷バースにまであふれ、荷積みの障害になることも珍しくなかったといいます。

また旧システムは、パッケージ製品でしたが、結果的にほぼフルスクラッチの開発となったため、保守費用の高額化やOS移行の困難さという問題が生じていました。こうした課題を解決する新システムとして同社が入念な検討のうえで選んだのは、東芝の倉庫管理ソリューションLADOC Suiteでした。物流部 物流課 主査の林 忍氏は当時をこう振り返ります。
「新システム移行に向けた検討をスタートした2013年当時は、パッケージベースのWMSがほぼ出そろった時期でした。その中でLADOC Suiteを選定した第一の理由は、トラック入退場とピッキングの連携をはじめ、当社がやりたいと思うことの大部分がパッケージ内の機能で対応できる点でした。また、他社が要件定義に3、4カ月を見る中、東芝さんだけが6カ月から10カ月のスケジュールを提示し、『ここはしっかり固めましょう』と提案してくれたことも高く評価した点です。私自身、当時は情報システム部門に所属しプロジェクトリーダーを務めておりましたので、そうした考え方ができる方々と仕事をしたいと思いました」

業務フローの全面的見直しや並行稼働による問題点の洗い出しを経て、新システムに移行したのは2015年4月。入念な打ち合わせもあり、当初考えていた以上にスムーズな移行が実現できたと林氏は言います。

  • 物流部 物流課 主査 林 忍氏
    物流部 物流課 主査 林 忍氏
  • 物流部 部長 中島 安樹氏
    物流部 部長 中島 安樹氏
  • 出荷バースでトラックへのピックアップを待つ商品
    出荷バースでトラックへのピックアップを待つ商品
  • LADOC Suiteの導入で、倉庫内のオペレーションが効率化された
    LADOC Suiteの導入で、倉庫内のオペレーションが効率化された

トラック入退場時間を短縮。ドライバー負荷軽減に貢献

LADOC Suiteへの移行効果として注目したいのは以下の2点です。一つはトラックが入場したタイミングでピッキングを開始する業務フローの実現です。具体的には、トラックが待機バースに入場したタイミングでピッキングを指示し、出荷バースが空いたタイミングでトラックをコールするフローへの移行により、出荷バースの荷物滞留が無くなり、トラック入場から退場に要する平均時間は42分から32分に短縮しました。

もう一つは出庫業務の可視化です。ハンディターミナルのディスプレイにエリア別のピッキング作業残をリアルタイム表示することで、現場スタッフが自律的に他エリアを応援する仕組みが整ったことは特に大きなポイントです。またシステム移行に伴い新たに導入したハンディターミナルは、現場スタッフからも画面が大きく見やすいと好評です。2017年には関東の物流拠点でもLADOC Suiteの運用を開始。物流業務の一層の効率化を実現しています。一連の取り組みの狙いを物流部 部長の中島 安樹氏はこう説明します。
「よりよいお酒を多くの方にお届けすることが当社の使命です。その実現には、既存物流網の維持は重要な課題の一つです。海運や鉄道へのモーダルシフトも含め、物流効率化に今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています」

  • 商品出荷の際、ポータブルプリンタでラベルを発行
    商品出荷の際、ポータブルプリンタでラベルを発行
  • 商品鮮度管理のパレットラベルをオフィスで発行
    商品鮮度管理のパレットラベルをオフィスで発行
  • 印刷されたラベルで商品は適切に管理され出荷される
    印刷されたラベルで商品は適切に管理され出荷される

お客様情報

  • お客様名称

    月桂冠株式会社

  • 所在地

    京都府京都市伏見区南浜町247番地

  • 事業内容

    ・清酒、リキュール類の製造販売
    ・ビール、ワインの輸入販売

  • 従業員数

    375名(2021年4月1日現在)

  • URL

    https://www.gekkeikan.co.jp/

月桂冠株式会社

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