2022年、自動認識総合展&国際物流総合展レポート

Club-TEC

2023年1月25日

東芝テック株式会社

第24回自動認識総合展レポート

第24回自動認識総合展レポート 「サプライチェーンに笑顔を」をテーマに多様な製品・ソリューションを出展

自動認識総合展の第一の注目ポイントは、3年ぶりとなるデモステージの復活です。近年重要性がますます高まる賞味期限・消費期限管理の工数の大幅な削減を実現するソリューションが紹介されたデモステージと、製造~物流~店舗のサプライチェーンプロセス、そしてプリンタ管理のキーワードのもと紹介された製品・ソリューションをレポートします。

デモステージ|日付情報をAIが読み取り、サプライチェーン全体を省力化

加工食品の流通では、メーカー倉庫やデポ、卸・小売の物流センター、店舗バックヤードなどサプライチェーンの各プロセスにおいて賞味期限・消費期限に関する情報が管理されることになります。入荷検品時に行う「納品期限内であること」、「前回の入荷より新しく作られたこと」のチェックはその好例です。

加工食品の流通はケースを単位として行われることが一般的ですが、段ボールケースに表示された賞味期限・消費期限の管理は表示ルール統一化の遅れもあり、これまで目視で行うほかないのが実情でした。

この課題解決への新たな提案が今回デモステージで紹介された、日付情報を自動的に読み取り、RFIDで管理するソリューションです。日付情報の読み取りは、GS1 Japanが定める表示ガイドラインを前提にAI画像認識によって行われます。読み取った情報はRFIDプリンタでRFタグとして出力され、それをロボットアームでケースに貼付する、というのがソリューションの流れになります。それにより、RFIDによる入出庫を行うサプライヤーであれば、これまで行ってきた目視による日付情報確認が不要になることが、ソリューションの最大のポイントです。デモステージでは、トンネルゲートによるRFタグ読み取りを実演したほか、IPカメラの映像から見たいシーンを素早く検索・再生するCo-Co Reco(ココレコ)を利用した、ラベル出力・ロボットアームによる貼付作業の信頼性を担保する仕組みも紹介されました。

プリンタ一括管理システム|多拠点のプリンタを一括管理止めない運用を実現

製造現場におけるバーコード管理、物流現場におけるモバイルプリンタ及など、近年プリンタの用途はオフィスの外へと広がっています。それに伴い、新たに浮上したのが、多様なプリンティングデバイス管理の省力化という課題です。ポータブルプリンタB-FP2D、ラベルプリンタBV410Dシリーズ、製造・物流に特化したラベルプリンタBA410Tなど、業務のエッジで酷使されるプリンタの新たな管理手法として紹介されたのが、その状態をリモートで監視する、もう一つの自動認識ソリューションでした。

一般的なIoTプロトコルに対応するデバイス管理ツールSOTI Connect(ソチコネクト)を利用することで、消耗部品の状態からモバイルプリンタのバッテリ残量までをクラウド上で一元管理することが可能になります。

そのほか東芝テック製ラベルプリンタによるRFタグ出力に対応する総合帳票基盤ソリューションSVFの紹介も行われました。

店舗エリア|リーズナブルかつ現実的な店頭欠品対策を紹介

人手不足が常態化する中、スーパー・量販店では商品補充の遅れによる販売機会ロスへの対応が新たな課題として浮上しています。商品補充はこれまで、担当者が陳列棚を目視で確認し、状況に応じてバックヤードから商品を補充する、という流れで行われることが一般的でした。しかし、このやり方では、売り場とバックヤードを行き来するムダが生じてしまいます。一方で、欠品に気づいたスタッフがその都度、担当者に連絡する仕組みを取ろうとすると、今度はメモ書きという新たな手間や口頭引継ぎによる連絡ミスというトラブルにつながります。

この課題に対して、すでにIPカメラによるアラートシステムやロボットによる欠品発見・商品補充ソリューションなど、多様な解決策が提案されていますが、例えばIPカメラによるアラートシステムではすべての商品棚にカメラを設置する必要があるなど、どれもシステムが大掛かりになるため導入は決して容易ではないのが現実です。

今回東芝テックが提案した商品補充アラートシステムの最大の特長は、スマホアプリを基盤とした誰でも即座に運用可能なソリューションである点になります。具体的には、同システムでは以下のような流れで店頭欠品を回避します。

①欠品間際の商品を発見したスタッフは、補充が必要な商品の棚札をスマホのカメラで撮影し、画面表示に従い充数量を入力。 ②入力された情報はクラウドに吸い上げられ、該当部門のスタッフのスマホにチャット形式で一斉配信と同時に音声通知で担当者に気づきを与える。 ③チャットを見た品出し担当者が商品を補充。

さらにRECAIUS フィールドボイスインカムとの連携で、テキストを音声化し、一斉配信することも可能。新たなハード投資の必要はなく、店頭欠品への確実な対応が可能になる同システムは、スーパー・量販店が直面する店頭欠品の回避策を考える上でぜひ注目したいソリューションといえます。

またウェアラブルな超小型RFIDリーダーと腕時計型のディスプレイ端末を組み合わせた販売員支援ソリューションも注目を集めました。今回参考出展された同ソリューションが想定するのは、RFID普及が進むアパレル店舗での活用です。

アパレル店舗では、顧客が求める高度な商品知識を持つスタッフの確保が年々難しくなっています。今回出展した接客支援システムは、RFIDリーダーが読み取った情報に基づき、腕時計型デバイスにコーディネート提案やサイズ・カラー別の在庫情報を表示。商品知識を問わず、スムーズな接客を実現します。ちなみに超小型RFIDリーダーは手のひらに乗るサイズで、腕時計型デバイスのベルトにも固定可能な大きさです。そのほか、店舗向けRFIDシステムであるRFMeister(アールエフマイスター)の紹介も行われました。

製造エリア|HACCPが求める手洗いモニタリング・記録保存を自動化

2020年に義務化されたHACCP(ハサップ)に基づく食品衛生管理手法では、一般的な衛生管理に関する基準を満たすことに加え、その実施状況をモニタリングし、記録を作成することが求められます。マニュアルに沿った手洗いの実施とその記録保存もその一つ。そのため、食品工場では従業員の手洗いを監視員が目視でチェックするなどの対策を取る必要が生じています。

製造エリアで注目されたのは、マニュアル通りの手洗いができていることをAIが判定する手洗いAI判定システムです。判定結果がその場で確認できるため従業員の意識向上への貢献が期待できるとともに、ICカード社員証との連携により記録保存の自動化も可能になります。

同エリアではそのほか、顔認証、虹彩認証などの生体認証による非接触型の入退室管理ソリューションも展示。特に虹彩認証は、マスクを付けていても認証が可能な高精度を維持。ICカードの貸し借りや盗難によるなりすまし入室防止に加え、近年はBCPの観点で生体認証に着目する企業も増えつつあります。災害発生時には避難経路確保のためドアは自動開錠されますが、生体認証であればその場合も避難状況の把握が可能になることがその理由です。今後、生体認証による入退室管理ソリューションにはこれまで以上に注目する必要がありそうです。

物流エリア|現実上に探索対象の位置を表示するAR探索のデモを実施

物流エリアの注目ポイントは大きく二つ。一つはRFIDの活用です。WMSとの連携も容易な物流倉庫向けRFIDシステムRFLogispert(アールエフロジスパート)や、最新鋭RFIDハンドリーダーUF-3000が搭載するAR探索機能の紹介が行われました。

東芝テック製RFIDハンドリーダーには、指向性のあるアンテナで特定のRFタグを検索する機能が備わっていますが、以前は方向の表示しか行えませんでした。AR探索機能は、連動するスマホカメラが撮影する拡張現実に検索対象の位置を表示する機能。より直感的な検索が可能です。また倉庫内の工具や備品にRFタグを貼付し、出荷検品時のチェックで異物混入を回避する活用アイデアも紹介されました。

もう一つは、東芝テックが培ってきたスキャニングのノウハウを物流現場の検品に応用したソリューションです。POSレジのノウハウを応用した検品大助は、物流の現場で高い評価を得ていますが、検品台と一体化した機能的な構造は、倉庫内のレイアウト変更やイレギュラーな業務への対応が難しいという課題にもつながっていました。その声に対応し、検品大助の機能はそのままに作業台を省いた移動式検品システムも出展されました。

 

第15回国際物流総合展レポート RFIDを中心に物流分野の生産性向上を提案

東芝インフラシステムズが倉庫運用管理システム(WES)や多様なロボットシステム、東芝デジタルソリューションズが倉庫管理システム(WMS)を紹介する中、東芝テックが担ったのはRFID活用に関する分野です。RFIDと自律走行搬送ロボット(AMR)による棚卸自動化ソリューションは、RFIDを活用する棚卸の次のステップとして期待されています。この棚卸自動化ソリューションを中心に東芝テックの出展をレポートします。

AMRに搭載されたRFIDリーダーで自動棚卸を実現

倉庫内作業の生産性向上において常に大きな課題であり続けてきたのが、棚卸の省力化です。倉庫内の商品や製品、原材料、仕掛品の在庫数量を調査・確認する棚卸は、倉庫の規模にもよりますが、これまで特別に人手を確保した上で、数日がかりで行うことが一般的でした。こうした中、注目されるのが「遠距離・非接触の読み取り」「大量データの一括読み込み」という特長を備えるRFIDの活用です。

商品を一点一点バーコードリーダーで読み取る従来のやり方と比べ、RFIDの優位性は明らかです。これまで10名前後のスタッフを確保して数日がかりで行ってきた作業が、RFIDハンドリーダーを用いることで2 、3 名のスタッフでわずか数時間で終えられるようになった、という事例もすでに数多く報告されています。

こうした状況を受け、東芝テックが次のステップとして提案したのが、参考出展された自律走行搬送ロボ(AMR)とRFIDリーダーの組み合わせによる自動棚卸ソリューションです。

すでに無人搬送車(AGV)とRFIDによる棚卸自動化に取り組む企業も現れはじめていますが、読み取り精度という観点では課題も少なくありません。その一つが移動経路設定に伴う課題です。

RFID棚卸では、棚卸結果と理論在庫が合致しない場合、再度RFタグを読み取ることで、読み漏れをカバーしていきます。人がRFIDハンドリーダーを手にして棚卸を行う場合、ルートを変更して読み漏れをカバーするのは簡単ですが、ガイドテープに従って移動するAGVの場合、ルート変更は決して容易ではありません。

自動運転ソリューションでも注目される360度LiDARセンサーを搭載し、自律走行も可能なAMRの場合、アプリ上で走行ルートを設定したり、走行ルートを変更することが容易に行えます。AMRとRFIDの組み合わせは、棚卸自動化において大きな意味を持つと考えられます。

また展示スペースでは、RFタグ付き商品が積載されたカゴ車やハンガーラックを通過させるだけで入出荷検品ができるRFIDトンネル式ゲート ウォークスルーショート型WG-900も展示。トンネル式ゲートはこれまで、周囲のRFタグの誤読を避ける観点から長いトンネル空間の確保を必要としてきました。それだけに高い読み取り精度を維持しながら、トンネル奥行を1064㎜に小型化したWG-900は、RFID普及に大きな役割を果たすことが期待されています。

そのほか、RFIDを用いてパレット等の行方を追う什器管理ソリューションRF Bellapassa(アールエフベラパッサ)の紹介も行われました。