RFIDってなに? ~その仕組みと特長、活用例を紹介~

Club-TEC

2021年6月2日

東芝テック株式会社 ソリューション紹介

RFIDってなに?

バーコードに代わる商品管理方法として、RFIDが注目されています。大手アパレル企業を中心に導入が進んだことで、RFタグと呼ばれる専用電子タグの単価はより安くなり、その活用はさらに広がりをみせています。RFIDが注目される理由に迫ります。

多様な情報が、非接触で読み取れる

2017年に経済産業省が発表した「コンビ ニ電子タグ1000億枚宣言」を覚えている方 も多いはずです。2025年までにコンビニ大 手が取り扱うあらゆる商品に電子タグを貼 付するという目標を掲げるこの宣言で大きな 役割を果たしているのが、RFIDと名付けら れた新たな商品管理の仕組みです。

専用リーダーやライターを使い、RFタグ への情報の書き込み、読み出しを非接触で行うことがその基本的な考え方です。RFタグは、アンテナとメモリで構成され、リーダーやライターから発信された電波を受信すると、そのエネルギーでメモリへの読み出しや書き込みを行います。バーコードなどと違い、メモリの仕様次第で、賞味期限や生産者などさまざまな情報が記録できる点も特長の一つです。

RFIDの仕組み

RFIDの仕組み

リーダーには、ハンディターミナル型と据 え置き型があり、据え置き型にはレジカウン タに置ける小型のものから、ゲートを通過し たタグを読み取る大型のタイプまで各種用 意されています。RFタグへの書き込みを行う デバイスには、専用ライターのほか、タグ印 字とデータ書き込みを同時に行うRFIDプリ ンタもあります。RFIDの実運用では、工場出 荷時にRFIDプリンタで出力したタグを商品 に添付し、その後はリーダーで情報を読み取 るという運用形態が一般的です。

ちなみに「コンビニ電子タグ1000億枚宣 言」では、RFタグ1枚1円が目標として掲げら れています。これはかなり高いハードルです が、その単価は1枚5円までは確実に下がる と見られています。

RFIDの特長

RFIDの特長

業務効率化に加え、流通企業の多様な課題に対応

RFIDの導入では、新たな設備投資とバー コードと比べて割高なタグの運用コストが 生じます。ではなぜ今、RFIDに多くの注目が 集まるのでしょう。その理由を考える上で重 要になるのが、従来の商品管理の仕組みに はないRFIDならでは特長です。それは大き く4つの観点から語ることができます。

①複数タグの一括処理
RFIDは複数のRFタグを同時に読み取る ことができます。例えば出荷検品の際、折り 畳みコンテナ内の複数タグを一瞬で読み取 ることが可能です。

②非接触型自動認識
RFIDは電波が届く範囲であれば、距離が離れていてもデータを読み取ることができます。UHF帯の電波を利用する場合、半径5、6メートル内のRFタグを読み取ることが可能です。

③透過性
RFIDは障害物に遮られた目視できない場所のタグも読み取ることができます。そのため、箱を開けることなくダンボール箱の中のRFタグを読み取ることも可能です。

④汚れても読み取りできる
RFIDはタグ表面が汚れていたり、シールが貼付されていても読み取りできます。そのため、レジカウンタ業務に混乱を招く心配もなくなります。

現在、RFIDはGU(ジーユー)などのSPA業態のアパレル企業を軸に導入が進んでいますが、そこには、こうした特長に基づく多くのメリットがあります。次に、RFIDのメリットを具体的に見ていきましょう。

まず挙げられるのが、レジカウンタ業務の 省力化。RFIDであれば買い物カゴの中の商品を一括で読み取れることがその理由です。GUの場合、買い物カゴをセルフレジの中に入れて会計を行いますが、商品が一瞬で正確に読み取られ、モニタ画面に表示されることに驚かれた方も多いはずです。

次が入出庫検品の効率化。すでに触れたように、RFIDであればジャケットやシャツをハンガーラックに掛けた状態のままゲートを通過するだけで正確に検品することが可能。またダンボール箱の中の商品を開封することなく、検品することもできます。

レジカウンタ業務や入出庫検品以上に劇的な成果が得られるのが、棚卸の効率化です。バーコードによる商品管理方法の場合、棚卸の際に一つ一つタグを読み取る必要がありましたが、RFIDであれば棚全体の商品を一度に読み取ることが可能です。延べ数十人のスタッフを投入し、数日掛けて行っていた倉庫の棚卸が数名のスタッフで、わずか半日で終えられるようになったという事例もすでに数多く報告されています。さらに、所在不明な商品の探索が行えることもRFIDの大きなメリットの一つです。

少子高齢化や働き方改革に伴う人手不足が大きな課題として浮上する今、こうした業務効率化が可能になることがRFID普及 の強い追い風になっていることは間違いあり ません。そしてRFIDの可能性はそれだけで はありません。

その一例が、店舗内の顧客行動分析への 応用です。これまで、店舗内で顧客がどんな 商品を手に取り、購買に至ったかというデー タを把握することは困難でした。しかしRFタ グであればリーダーを随所に配置すること で、商品が手に取られた回数や試着された 回数など、商品の動きを具体的に把握する ことが可能になります。ビジュアルマーチャン ダイジング(VMD)の客観評価という観点 で、こうした機能に着目するエンドユーザー 様も実は少なくありません。

「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」が掲 げる、消費期限切れ間近の商品をリアルタイ ムで消費者に伝え、ダイナミックプライシン グで販売するというビジネスモデルもその一 例と言えるでしょう。RFIDは人手不足の解 消だけでなく、多様な観点から注目を集めて いるのです。

RFIDの活用例

  • レジ業務の効率化
    レジ業務の効率化
  • 入庫検品の効率化
    入庫検品の効率化
  • 出庫検品の効率化
    出庫検品の効率化
  • 棚卸の効率化
    棚卸の効率化

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